2014年9月30日火曜日

岩崎夏海クリエイター塾 第六回に参加してきました!


皆さまこんにちは、波乗りたいしです。

2014年9月20日に渋谷で行われた、ハックル氏こと岩崎夏海氏の主催する「岩崎夏海クリエイター塾」の第六回に参加したので、レポートをお届けしたいと思います。

メニューはこちら!

前半
  • ルック&エモーション
  • 技術が向上する構図
  • 下積みのジレンマ
  • 秋元康氏の政治力

後半
  • ハックルブロマガの衝撃
  • 撮影技法による感情移入
  • タペストリー
  • 等価交換の法則
  • 既存の価値を超越せよ
  • 悪口のすゝめ

はじめに

冒頭で、私が書かせていただいた前回(第五回)のまとめブログに言及してくださり、そのなかで「ほとんど無意識のうちに喋っている状態なのかもしれない。そういうグルーヴ感がでているような状態が望ましく、調子がいい。」ということをおっしゃっていました。
確かに非常に濃い講義で、その分まとめに難儀してしまいましたが、今回もそれに違わず充実した内容でした。
というわけで、「映画『フォレスト・ガンプ』を観てくるように」という宿題にも関わらず、映画「ゴッドファーザー」の話しから始まる疾走感がたまらない第六回、スタートです!


ルック&エモーション

映画の魅力、ひいてはエンタテインメントの魅力とは一体どのようにして僕たちの前に立ち現れるのでしょうか。
それは、「ルック」と「エモーション」であり、このどちらにも共通することは、「無意識」に働きかけるということで、これを女性の魅力に例えるなら、「美人は『意識』に働きかける」けれど、「香りは『無意識』に働きかける」ので、抗い難いのだそうです。

「ルック」とは、1989年に発行された書籍「マスターズオブライトーアメリカン・シネマの撮影監督たちー」に登場する、映画「ゴッドファーザー」の撮影監督である、ゴードン・ウィリス氏が掲げる概念で、映画「ゴッドファーザー」のファーストシーンにおけるライティングを例に挙げ、雰囲気やパッと見が鑑賞者の無意識に大きな影響を与えていることが解説されました。

続いて「エモーション」を岩崎氏流にいうと「ヴィト、ええわぁ。。。」なのですが、これはヴィト・コルレオーネと葬儀屋(ボナセーラ)のエピソードを例に挙げ、この映画の表層をなす「マフィア物語」に対する深層の哲学である「人間の抗い難い魅力」、人間が人間を魅了するというのがどういうことなのかが敷衍されました。


技術が向上する構図
    
前述の「マスターオブライト」から、ハリウッドの衰退と再興、そして撮影監督の地位が大きくなっていった経緯についての記述を引き、健全な競争の原理の重要性を説きます。

1950年代のハリウッドは技術者の既得権益化が進んだことからその勢力を衰退させます。
しかし、テレビの勃興に伴う競争からレベルの高い監督が輩出されるようになり、ハリウッドへと還流することで再興を果たしたのだそうです。

この構図は、岩崎氏が現在最も力を注いでいるYouTubeでの取り組みと相似形をなしているように感じます。


下積みのジレンマ

岩崎氏は社会に出るにあたり、映像が好きであったことから一旦は映像業界へと進むことを検討したものの、映像業界に進んでもすぐにはカメラに触れないなどの徒弟制度の理不尽につきあたり、すぐに最前線にアサインできるという判断から放送作家の道へ進んだそうです。

現在、多くの人がエンタテインメントやクリエイティブに対する行き詰まりと閉塞感を感じているなか、最前線にアサインし、状況を選択することの重要性を説いています。

更に岩崎氏は、多くの人が「自分は自分の好きなことがわかっている」という「勘違い」をしていると指摘し、好きかどうかわからないというスタンスの方が上手くいくということを折にふれて主張しています。

こうした岩崎氏の経験や洞察が、今日に至りYouTubeでの取り組みに繋がり、その岩崎氏がTwitterでつぶやいたりブロマガで展開する考察はどれも有益と思えるものばかりです。
これらは不肖ながらYouTubeスターを目指す僕にとってはなくてはならないものです。
そんな岩崎氏のYouTubeでの取り組みについてのツイートを僕がまとめたものがございますので、拙まとですがどうぞご覧ください。

ハックル氏、YouTubeはじめるってよ - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/716341

岩崎氏のYouTubeチャンネル HuckleTV:投稿時登録者数734人


秋元康氏の政治力
話しが逸れてしまいましたが、講義はクリエイションにおける自身のあり方、「プレゼンテーション」について進んでいきます。

岩崎氏の分析によると、秋元康氏はものづくりにおいて直感に対して鈍感だが、「打席に立ってとりあえず打つ能力」とそれに付随する「政治力」、「人のせいにする」ことに長けているということでした。
岩崎氏はこのなかでも「政治的であること」が重要で、相手に得をさせるために何をするかを考えることで、局面を打開できることが多くあると説きます。
これは岩崎氏が38歳で迎えたコペルニクス的転換よってある覚悟を持つことで、この「政治的アプローチの重要性」に辿りついたのだそうです。

覚悟、それは「自分を捨てる」というコンセプトを持つことであり、笑わせるよりも笑われる人が勝ちであることをデザインできるかにかかってきます。
しかしこれは尊厳を失うことにもなり、易しい道ではありません。

こうしたことを学ぶには、映画を観ること、特に役者のあり方を見ることが手助けになると岩崎氏は説きます。
なぜなら、役者の成長にとって最も重要なのが「自分を捨てる」アプローチであるからだそうです。

世阿弥の「若くしてまがいものの華が咲く」という言葉を引いて、エンタテインメントにおいては若いということだけで実力以上の称揚をされることが多くあり、それゆえに挫折を経験し、おちぶれて「自分を捨てる」アプローチを取れたものが、実力をつけ本物の華を咲かせることになるため、格好の教材となるのだと解説されました。


後半

ハックルブロマガの衝撃

さて、授業の後半は映画「フォレスト・ガンプ」についてですが、岩崎氏のブロマガ連載・週末に見たい映画シリーズで紹介されていました。
氏のブロマガを購読し続けて、幾度となく目から鱗が落ちる思いをしてきましたが、この記事で落ちた鱗はまさに最大級でした。
"多くの人が「フォレスト・ガンプ」を純然たるエンターテインメント映画だと考えているからだ。だから、そうした発見や気づきがあるというふうには、あまり考えていないのである。
しかしながらこの映画は、深い哲学的洞察をはらんでいる。ぼくは「フォレスト・ガンプ」を何度も見返す中で、そのことに気づいた。"
>>>週末に見たい映画#002「フォレスト・ガンプ」 (1,932字)
※有料コンテンツです
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar24178

岩崎氏が気づいた深い哲学的洞察とは、「被差別者の持つ差別感情」。
ブロマガでは、フォレストが決定的に差別心を顕にするシーンや、それぞれの登場人物に与えられたモチーフについて詳しく述べられているので、是非ともご覧になって、映画を見直していただきたいです。


撮影技法による感情移入

これ以降は前回と同様、名作としての「構造」を、岩崎氏が挙げるものの他、受講生が読みとったものを発表しそれに対して岩崎氏が見解を述べるという形式で講義が進行しました。

この映画は、とにかくカメラが動き続けるということが特徴で、その中でもドリーインという手法は登場人物の存在の大きさや尊さが感じられる効果があるそうです。
とりわけフォレスト・ガンプのお母さんが今際の際というシーンでは、彼の心情におけるお母さんの存在の大きさが真に迫ってくるように感じられ、鑑賞者は感情移入を避けることができないということでした。

それとは対象的に、ズームアウトは鑑賞者の感情移入を拒否する手法であるとして、映画「バリー・リンドン」で用いられていることが紹介されました。
また、スタンリー・キューブリック監督は、受け入れがたいものを描くときに、トレードオフとして画を美しくするという手法をとっているとのことでした。

この詳細は岩崎氏のブロマガでどうぞ。

週末に見たい映画#52「バリー・リンドン」(2,207字)
※有料コンテンツです
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar620754


タペストリー

続いて受講生から、個々のシークエンスが独立しながらも関連しあって進んでいくことが魅力になっているという発表がありました。

これはタペストリーという手法で、ストーリーになり得ない個々のシークエンスを、関連させながら紡いでいくことが物語の本質であり、このことは歴史を記述する上での取捨選択に似ているということでした。


等価交換の法則

前述したようにこの映画の持つ深遠な哲学的洞察は「被差別者の持つ差別感情」ですが、差別の本質に迫る上での重要な概念として、「等価交換の法則」が挙げられました。

「等価交換の法則」についての記述があるブロマガはこちら。

"多くの人が「この世には『等価交換の法則』がある」と思っていて、何かに恵まれていると何かが損なわれるものだ――と考えるからだ。それで、「天才に恵まれると人情が損なわれる」というのは、この等価交換の法則にぴたりと当てはまるので、「なるほど」と納得してしまうのである。"
>>>映画「風立ちぬ」が誤解される理由とその正しい見方について(3,132字)
※有料コンテンツです
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar300525

映画「フォレスト・ガンプ」のケースでは逆に「何かが損なわれると代わりに美しいものを得る」という交換になりますが、「障害者は心がキレイである」であったり「手足がない人はいいやつである」といったことが本質的には誤解であることを幾度となくあぶり出しています。

この「等価交換の法則」は多くの人が持つ「既存の価値観」のうちのひとつであり、それに縛られることが物事の本質を見誤らせてしまうことは多くのあるのではないでしょうか。

「既存の価値観」に縛られた人物として、フォレストの片想いの相手であるジェニーが存在します。
彼女の持つ価値観とは、「信念を持って(クリエイターとして)生きることは美しい」、「愛がなければ(フォレストと)結婚してはいけない」、「父は敬わなくてはいけない」というものがありますが、結果的に彼女の人生は悪い方向へと進んでいきます。

長い時間をかけて、また自分が死に瀕していることがわかって初めてその全てのくびきから解き放たれ、好きではないガンプと結婚し、生家(父の象徴)に石を投げつけ、既存の価値観から抜け出ることができたのです。


既存の価値を超越せよ

講義の前半で、「人間が人間を魅了する」ということが話されました。
ではどのような人物が、僕らを魅了するのでしょうか。

魅力的な人物とは、通常の価値観を越えた深遠な価値観を持った人物、自分ができないことをやってのける、ある意味ではアレルギーと表裏一体となった感情を伴うものであると、岩崎氏は説きます。

具体的には「源氏物語」の光源氏(注:柏木と薫の件を引いていたと思われる)や、再度ヴィトー・コルレオーネを例に挙げて説明していました。

既存の価値を超越するということについて、ブロマガで言及されていました。

"多くの人が「自分は自らにいましめをしていて、そこから解放されたいと願いながら、それを果たせずにいる」と考えているからだ。そのため、それを果たしたエルサに対して、深い共感と強い憧れを抱くのである。自分がしたくてもできないことをする人――スターの姿を、この瞬間のエルサに見出すのだ。"
>>>週末に見たい映画#49「アナと雪の女王」(2,198字)
※有料コンテンツです
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar520839

さらに、ジブリ・スタジオを追ったドキュメンタリー番組で描かれていた宮崎駿氏の抱える苦しみーー組織として映画づくりを行なう以上は、低い地位で甘んじるクリエイター(従業員)の存在が必要不可欠であるが、同じクリエイターとしてそのように低い地位で甘んじていていいのだろうかという思いを抱いてしまうジレンマーーから、人間の価値には上下があるという醜い感情ーー厳然たる事実ではあるがーーを受け容れる必要があるということが話されました。


悪口のすゝめ

このように、憧れの対象となる人物というのは、受け入れがたいことを受け入れたり、自分ができないことをやってのけるため、常にアレルギーと表裏一体で、なかなか自分のコンセプトとしては取り入れがたいというのが実情です。

これを乗り越えるという意味で、「他人をバカにする」ことや「悪口を言う」ことも実は必要であると岩崎氏は主張します。

悪口というのはある種の後ろめたい行為で、誰にでもできるものではないということが分かる。しかし、それが後ろめたく誰にもできるものではないからゆえ、エンターテインメントとしての強い価値を持つようになったのだ。
>>>悪口のエンターテインメント性(2,421字)
※有料コンテンツです
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar162919


おわりに

実はぼくも悪口が大好きで、相手もなんとなくそんなことを思っているだろうなという悪口を話すとすごく盛り上がります。
また、会社で上司に他のメンバーの悪口を言うと、我が意を得たりとばかりに胸の内を吐露するのを目にしてきました。
チームのリーダーであり、メンバーを評価する立場であるがゆえに平等に接しなければならないといういましめがあり、無意識のうちに僕の悪口が刺さっていたのかと感心してしまいました。

また、そういうコンセプトを持つことで、仮にだれかが陰で自分の悪口を言っていたとしても、まあそんなものだろうという一種の懐の深さみたいなものも持てるのではないかと考えるようにもなりました。

楽しいと思いながらも少しばかり後ろめたい気持ちを抱えていましたが、これからも悪口をたくさん言うことでクリエイティビティを磨き、魅力的な人物になっていきたいと思います。


次回は10月04日(土)
宿題は映画「ゴッドファーザー」(1,2,3)を観てくることです。


またあそぼーね!


岩崎夏海クリエイター塾レポート・リンク集
http://blogger.naminoritaishi.com/p/huckleberry.html


2014年9月27日土曜日

えっ?ライディング禁止令!?サーフィン初心者必見!ドジ井坂氏のワンデイサーフィントレーニング講座


みなさまこんにちは。
永遠のサーフィン初心者、波乗りたいしです。


2014年9月23日、千葉・鴨川で開催された、ドジ井坂氏のワンデイトレーニング講座に参加して参りました!


関連リンクはコチラ↓↓↓

ドジ井坂サーフィンスクール BeachSchool.com

ドジ井坂のトレーニング講座ブログ・トレーニング講座で何するの?


過去2回に渡り、ドジ井坂氏主催のサーフィンスクールを陸上トレーニング、海上トレーニングと受講し、サーフィンに重要な身体のバランス、PST(フィジカル・センス・トレーニング)や、ドジ井坂式パドリングについて学んできましたが、いよいよ今回はライディングを学ぶべく、意気揚々とワンデイトレーニングに臨んだものの、なんとライディング禁止を言い渡される衝撃の展開が!

一体、波乗りたいしになにが起きたのか?
そしてドジ先生の思惑は!?

動画も鋭意編集中!
近日公開予定!
当日の様子を動画にしてYouTubeで公開しました!
記事中に埋め込んでありますので、ぜひご覧ください。


本日のメニューはこちら!

  • 姿勢を再確認
  • サーフィンはオフバランス→リカバリの連続
  • ボード上の正しいバランスは?
  • ライディング禁止令?〜ハイラインを目指せ!〜
  • プロと上級者の違い!?
  • パドリング・アップデート

■姿勢を再確認

まずは陸上トレーニングからスタートします。
始めに、こちらの動画でも行われている正しい姿勢を再確認します。

ドジ井坂氏サーフィンスクールで初心者脱出!陸トレ編1/3 サーフィン:波乗りたいし



■サーフィンはオフバランス→リカバリの連続

次にボード上でのバランスのリカバリについて学びます。
サーフィンはオフバランス→リカバリの連続のスポーツであるにも関わらず、多くのサーファーがどうやってバランスをリカバリするのか分からず、身体に力を入れてしまって余計にバランスを崩してしまっているそうです。

ボード上でのバランスやそれに必要な柔軟性はセンス・才能によるところが大きいことは確かであるものの、それを身体の使い方を学ぶことによって補うというのが、PST(フィジカル・センス・トレーニング)の本懐でもあります。

具体的には、膝を曲げ→腰(お尻)を後ろに突き出し→背中を反るという動作になります。
やってみると分かるのですが、何度も練習しないと上手くできません。
しかし、これが波の上でできなければ、ワイプアウトを繰り返してしまいます。


■ボード上の正しいバランスは?


ボード上でのバランスのポイントはご存知「おへそバランス」です。
テイクオフシートの前足を置く場所を思い出してください、前足荷重でなければ失速するバランスなのです。

そしてテイクオフ体操の重要な一面は、常に上半身が前を向いていることにあります。
これが腰の可動性を高め、スピードを出す重心に移行したり、多くのサーファーが苦手としているバックサイドのライディングにおいて、波に対する身体の開きに繋がる姿勢を、テイクオフ練習の段階から身体に染み込ませるのです。

ここまでの様子はこちらの動画にて公開しております。



■ライディング禁止令?〜ハイラインを目指せ!〜


陸上トレーニングがひと段落し、海上トレーニングに移行します。
海に入り、僕のテイクオフを見たドジ先生は、すぐに僕の課題を見出し、指示をくれました。

それは、腹ばいのまま波に乗り、加速するラインーーハイラインを探すことに集中するようにというものでした。

ハイラインにボードを持っていくためには、おへそバランスの重心から波側へ、そして加速するためには前側にバランスを移動する必要があります。
更に、GoProで撮影したものを確認することで、加速するラインのイメージを叩き込む。
それを知らないうちに立っても、加速するライディングはできないし、前述した前足荷重のバランスができていなければ失速するだけ、というのがドジ先生の「ライディング禁止令」の理由だったのです。

まさにこれこそが自分のサーフィンに不満を感じていたポイントで、どうやって波の上で加速していくのか、全くイメージができていませんでした。その結果、波の力に頼ったり、ボードを無理に動かすライディングになっていたのだと思い至りました。

海上トレーニングの様子はこちらの動画にて公開しております。



■プロと上級者の違い!?


一度海から上がって問題点と対策についてミーティングを行い、マルキに移動。
そこでは某プロや複数の上級者がフリーサーフィンしていました。

受講生が課題をこなす傍らで彼らのライディングをドジ先生が撮影し、某プロのライディングこそが本物であり、氏を手本として居合わせた「上級者」たちとの違いは何なのか、ということをテーマに解説してくれました。

派手なアクションに見えても、上半身を振り回しているだけだったり、上半身が横を向いて重心が後ろ気味なために、腰が前に出てこないので次のアクションへのスピードが出なかったり、バランスを崩してしまうなどといった、少しの違いがプロとの大きな差を生んでいる例を詳しく解説してくれました。

これまで、いろんなサーフィンを見ても、上級者とプロの本質的な違いがどこにあるのか分からないでいましたが、同じように上手く見えるサーファーも、実は問題を抱えていることが多く、それをどう見分けるのかという視点を得ることができたのは非常に大きな収穫でした。


■パドリング・アップデート


前回のレポート動画でもドジ井坂式パドリングについてお伝えしましたが、今回のトレーニングでアップデートがありました。

ドジ井坂氏サーフィンスクールで初心者脱出!海トレ編 サーフィン:波乗りたいし




これまで腕をゆっくりと最後まで押しきるイメージを身につけるために、腕を前に戻すときに手を水面から出さない方法をとっていましたが、そのイメージが身についたということなのか、水から出してもいいということになりました。
基本的なことは今までと変わらず、肘の内側(だけ)を意識しながら上に引き上げ、肩甲骨を寄せながら前に戻す。
身体を漕ぐ手の側に傾け、肘から先を外側に回して手を水面から抜くように戻します。

あとは、パドリングのときにGoProで撮影している画面が左右にぶれているので、頭をぶれさせないようにと注意がありました。


■おわりに

これまで陸上トレーニングと海上トレーニングを別々に一回ずつ受講してきましたが、このワンデイトレーニングでは、陸上で習得した理論・身体の使い方を海ですぐに実践でき、フィードバックを得ることができるのが大きな魅力だと感じました。
今回学んだことをしっかりと身につけて、またトレーニングに参加したいと思います。


それではみなさま、またあそぼーね!

2014年9月19日金曜日

岩崎夏海クリエイター塾 第五回に参加してきました!


2014年9月6日に渋谷で行われた、ハックル氏(@huckleberry2008)こと岩崎夏海氏の主催する『岩崎夏海クリエイター塾』の第五回に参加したので、レポートをお届けしたいと思います。

今回は、前半が映画『パルプ・フィクション』について、後半が『クリエイションにおけるプレゼンテーション』についてという構成で講義が行われました。





これまでの講義の中でクリエイションにおける最も重要な概念のひとつとして繰り返し提示されてきた、『クリエイションは換骨奪胎である』という概念。
これをより深く理解し、名作を名作として受け取る感性を身につけるために、なぜその作品が評価されているのかということについて考えることが必要です。
そこで、テーマとなった映画『パルプ・フィクション』における名作としての構造を、岩崎氏が挙げるものの他、受講生が読みとったものを発表しそれに対して岩崎氏が見解を述べるという形式で前半の講義が進行しました。

候補として挙げられたものは下記の通り。

・アーリーアダプターとしてのパルプ・フィクション(H)
・会話の魅力(S)
・時系列をシャッフルした編集(S)
・上下関係のめまぐるしい入れ替わり(S)
・場違い感のある会話(S)
・SEXが大きな軸(H)

(H)…ハックル氏
(S)…受講生


アーリーアダプターとしてのパルプ・フィクション(H)

まずは岩崎氏から、この映画の特徴として、出演者のギャラが非常に少なかったということが提示されました。
これにどんな意味があるかというと、まだ無名だったり、人気が低迷している俳優・女優が出演し、好演の結果映画が話題となり、あるものは出世作、あるものは再ブレイクを果たす作品となったため、出演者に対するアーリーアダプター性を持っているということでした。
その俳優・女優を語るときに、必ずこの映画が語られることとなり、そのことがこの映画の名作として評価を高めていくことになるとのことでした。


会話の魅力(S)

次に、受講生から映画の中で交わされる会話が魅力的である、ということが提示されました。
岩崎氏はこれに同意し、これが『バディもの』と呼ばれる物語形式であるとしました。

『バディもの』とは岩崎氏の著書である『小説の読み方の教科書』のなかで、ドン・キホーテの昔から脈々と受け継がれてきた手法であることが解説されています。
また、これまでの講義のなかでも『バディもの』の魅力は『会話』にあると言及されてきましたが、さらに踏み込んで『会話は価値観の擦り合わせ』であるということが提示されました。

この映画では、登場人物が幾つかの組み合わせでバディを形成し、その会話ーーまたはそれにともなう行動ーーのなかでそれぞれの価値観を明らかにし、人物像に立体感と共感を生んでいます。

岩崎氏のブロマガでは、中でもブルース・ウィリス演じる白人ボクサーのブッチ・クリッジに焦点を当て、このキャラクターの存在こそが映画『パルプ・フィクション』を不朽の名作として押し上げる要因となったということが解説されています。

週末に見たい映画#007「パルプ・フィクション」(2,454字) ※有料コンテンツですすhttp://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar80126 


週末に見たい映画#43「年末年始に見たい映画5位から1位」(2,807字)  ※有料コンテンツです
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar422132


特に後者のブロマガでは、ブッチの行動がこの映画の持つ深遠な哲学を読み取るヒントとなると述べられています。

"なぜ自分を殺そうとしたマフィアのボスを助けたのか?〔中略〕しかし結果的に、ブッチのこの行動が、他ならぬブッチ自身を助けることになる。ここのメッセージを読み取ろうとするとき、この映画の放つ深遠なテーマというものに気づかされ、唖然とさせられたのだった。"

ブロマガにはこの『深遠なテーマ』について詳しい記述はありませんが、講義ではブッチが持つ『ある信念』に基づく会話と行動について言及があり、おそらくそれが『深遠なテーマ』に繋がる、またはそのものなのではと想像しました。

ブッチは恋人であるファビアンとの会話の中で、ブッチ自身が持つ価値観ーー『ある信念』ーーを擦り合わせ、それに基づく行動を起こし、物語が大きく展開します。
そしてマフィアのボスであるマーセルスとバディーー敵対する二人ですが、その関係性のうちにストーリーが展開するという意味でバディとみなしますーーを演じますが、その中でもブッチは『ある信念』に基づき、マーセルスを助けます。

このとき、観客は無意識のうちにこれまでの会話の中でブッチの持つ価値観を刷り込まれているので、その行動を自然で『彼らしい』ととらえ、共感するのです。

また、ブッチに助けられたマーセルスはブッチの裏切りを赦しますが、この『赦し』というのはキリスト教的テーマとして重要な意味を持つということでした。

後述するエピソードの中でも、会話が物語に重大な影響を与え、映画を魅力的にしているケースをみていきます。


時系列をシャッフルした編集(S)

続いて別の受講生から、時系列がシャッフルされた編集に価値があるのでは、という提案がありましたが、岩崎氏の見解ではこれは表層的なもので、そんなに価値はないということでした。
僕もこのことについて発表しようと考えていたので残念でした。


上下関係のめまぐるしい入れ替わり(S)

さらに、別の受講生から、
人物の上下関係が目まぐるしく入れ替わることが魅力的という発表がありました。

これについて岩崎氏は賛意を示し、この世界の本質は混沌であり、人間の役割はそこに秩序(バランス)をもたらすことであるが、価値観の擦り合わせが行われるときにバランスを崩し、訪れるカタストロフィみたいなものに人は無意識に惹かれるという説明がありました。
その絶妙な組み合わせ、ものごとの均衡と破綻、計算と非計算が表裏一体となったまだら模様を描くその様が、この映画の魅力となっているということでした。

また、クリエイションにおいては、ギリギリまでコントロールした上で生まれる破綻が大きな価値を持つことが多くあるそうで、映画史に残る即興ーーインプロ(英語:improvisation)として、いくつかの映画から、そのワンシーンが例に挙げられました。


場違い感のある会話(S)

次に別の受講生から、緊張感のあるシーンとちぐはぐな会話が魅力的であるという発表がありました。

しかし、岩崎氏の見解では、むしろ自然であるように細心の注意を払っているために、非常に魅力的になっているということでした。

特にマフィアのボスを裏切った白人たちを始末するため、ジュールスとビンセントが目的の部屋に着いたとき、時間が早いからと階段ホールに移動してそれまでの話しの続きをするシーンがいいと評価されていました。

さらにその次のシーンで、ジュールスに問い詰められる白人が、What?(えっ?)を連発することで肩を撃たれますが、会話の中で無意識のうちに相手に与えるメッセージ・無意識に受け取る影響があるということを、タランティーノ監督がよく理解していることが分かり、観客には無意識の共感という形で伝わるという解説がありました。


SEXが大きな軸(H)

最後に岩崎氏から、この映画の大きな軸となっているのが『SEX』である、ということが提示されました。

ジュールスとビンセントの間で交わされる、『フットマッサージはアウト(≒SEX)か』という会話、白人を問い詰めるジュールスの『Does he look like a bitch?』という発言、そしてミアの相手をするビンセントの葛藤。
このように会話の中でボスのマーセルスが不可侵領域である、という価値の擦り合わせ(前フリ)が行われてきたにも関わらず、オカマにおカマを掘られるというオチ(カタストロフィ)が発生。
マーセルスがブッチに八百屋を持ちかける席で放った、『Fuck pride!(プライドがなんだ)』というセリフが頭の中を駆け巡ります。


まとめ

前回の講義の中で、評価の高いコンテンツは二層のレイヤーを持つというお話しがありました。
それに映画『パルプ・フィクション』を当てはめて考えると、表層の『単純明快な「おはなし」』は、一風変わった編集のお洒落な音楽のマフィア映画ですが、深層の『深遠な哲学』を追究していく過程で、ほとんどの人が無意識のうちに受け取っている『価値』を日の目にさらすことができます。
魅力的な会話による前フリ、均衡と破綻を繰り返しながら転がるように進む物語、全ての価値観を覆すカタストロフィ、そして信念を持って行われる救済、からの赦し。
登場人物と物語が立体感を持ち、たった1時間の講義の中で、この映画に対する意識が大きく変わり、何倍も面白く感じるようになりました。

今回は受講生の方々の発表も取り入れながらの講義となりましたが、記憶とメモを頼りに書いていますので、誤解している部分がありましたらご指摘ください。


クリエイションにおけるプレゼンテーション

後半は、前半と同じくらいの濃い内容で『クリエイションにおけるプレゼンテーション』について講義が行われました。

ここで言う『プレゼンテーション』とは、いわゆる企画発表という狭義としてのものではなく、クリエイターとしてどのように振る舞うのか、という意味で、これまでの講義のなかでも折にふれて言及されてきました。

これは岩崎氏の持つ知見のなかでも最も重要なもののひとつであると感じ、この場で詳らかにすることは気が引けますので、ここではトピックの列挙のみに留めさせていただきます。

今後、岩崎氏の同意がいただければ、別の形でまとめた記事を作成しようと思います。


  • 作品以外の部分でいかにして戦うか
  • 言葉への執念
  • 相手の意に沿うプレゼンテーション
  • コンテンツはキャッチボール
  • サプライズを演出する
  • 下僕キャラ
  • ハックから読み取る信念の在り方
  • 無意識の部分を知る


終わりに

今回もかなり濃い内容で、あっという間の2時間半でした。
懇親会は二回に一回というのが定着しつつあるのですが、帰りがけに別の受講生の方と、ハックル先生抜きでも受講生だけで飲むのも悪くないのではという話が出ましたので、もし参加したい方がいらっしゃいましたら、僕(錦織)かK上さんにお声がけください!

次回は9月20日の開催、テーマは映画『フォレスト・ガンプ』です。

フォレスト・ガンプに関連するブロマガ

週末に見たい映画#002「フォレスト・ガンプ」 (1,932字)
※有料コンテンツです
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar24178


週末に見たい映画#43「年末年始に見たい映画5位から1位」(2,807字)
※有料コンテンツです
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar422132


岩崎夏海クリエイター塾レポート・リンク集
http://blogger.naminoritaishi.com/p/huckleberry.html

2014年9月5日金曜日

岩崎夏海クリエイター塾 第四回に参加してきました!


2014年8月23日に渋谷で行われた、ハックル氏(@huckleberry2008)こと岩崎夏海氏の主催する『岩崎夏海クリエイター塾』の第四回に参加したので、レポートをお届けしたいと思います。

今回の宿題は、『ハックルベリー・フィンの冒険』を読むことでしたが、併せてオススメされていた『小説の読み方の教科書』も、もちろん読みました。

『小説の読み方の教科書』は岩崎氏の著作で、『ハックルベリー・フィンの冒険』をテキストとして、正しい小説の読み方を学ぶ、というものなのですが、これを読むか読まないかで、小説の読み方の深さが全く違ったものになる、とても素晴らしい内容でしたので、是非ご一読されることをお勧めします。




メニューはこちら!


・アーリーアダプターとしてのハック
・ヤンキーくんと右翼ちゃん
・高尚と低俗のはざまで


アーリーアダプターとしてのハック

まず、テーマとなった小説『ハックルベリー・フィンの冒険』が、なぜ長きに渡りアメリカを始め世界中で『価値』のある作品として評価され続けているのかについてが話されました。
それは、南北戦争を契機とした、人々のある変化を予言・予見し、作品へと反映した『アーリーアダプター』として評価されているというものでした。

※小説の発表は1884年。南北戦争は1861年から1865年の間行なわれ、小説の舞台は1830年から1840年と言われています。ーーWikipediaより

アーリーアダプターであることの重要性や、岩崎氏のアーリーアダプターとしての能力については、下記のブロマガでも言及されています。

"あえて逆風を受ける煩わしさを引き受けたのは、そうしたリスクを取ることで、やがてアーリーアダプターとして評価されるというリターンを得ようとしたからだ。"
株は安値で買わないと儲からない(2,270字) ※有料コンテンツです
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar15520

前述の『小説の読み方の教科書』に、なぜ『ハックルベリー・フィンの冒険』がアーリーアダプターになり得たかのヒントが書かれています。
それは、偉大な作品が生まれる背景として、大きな「時代の変化」と、二つの時代を生きるなかで作家が感じる「心が二つに分断されんばかりの葛藤」があり、その中で著される「葛藤の解決策としての小説」が世界文学の名作となるというものでした。

葛藤の解決策として著されるということは、当然そこに作者としての何かしらの「決断」が含まれているとも語られています。

"そうして、それが激しくせめぎ合ったために、彼の心の中で、一種の内戦が起こるようになったのです。彼自身の心が二つに分断されたために、自分をどちらに置くかということにについて、彼自身が決断を迫られたのです。"

そして、どのようにしてマーク・トゥエインが自身の立場に対する「決断」をくだしたのだろうかと考えたときに、『夕陽的』であろうとしたのではないかと想像しました。

"だから、夕陽の美しさに鑑みて正誤の正しさを判断すれば、誤りが少なくなる。ある事象を見て「夕陽的か否か」が分かれば、その判断がつくのである。"

競争考:その18「夕陽的とは何か?(前編)」 ※有料コンテンツです
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar607928


かくして、マーク・トゥエインは、アメリカ文学史、そして南北戦争後のアメリカ人の新しい価値観の変化に対するアーリーアダプトに成功し、『ハックルベリー・フィンの冒険』は後述するその他の小説としての魅力を兼ね備えていることで、いまも世界中で評価される名作となったのです。


ヤンキーくんと右翼ちゃん

アーリーアダプターたるためには、ある程度のリスクを取らなければなりませんが、下に挙げる要素を考えることで、大まかに流れをつかんで流行を予測することができるそうです。

・今、なにが流行っているか
・それはなぜ流行っているか
・その流行はどのように衰退していくか

ここでは、ゆとり教育の弊害として増加したヤンキー、戦後的プロパガンダーー主に被害者としての戦争を語るーーの反動として生み出された右翼という二大流行が、政策や教育といった社会的構造がものごとを左右する好例として提示されました。

なぜこの層が大量に生み出されたのか、そしてこの流行がどのように受け入れられているのかの考察は、非常に興味深いものでした。

そして、ヤンキーと右翼に受け入れられているものには、どこかバランスを欠いた面があり、このことが否定されることによって、次の流行へと繋がっていくので、それらがどのように否定されるか、ということを考えることが重要とのことでした。

これは、以前にブロマガで紹介されていた、『破れ目』の概念に近いものと思われます。

"そして前述したように、人々は、破れ目があればそれを修復する方向に動くから、この破れ目も、やがては塞がれる方向に動くことが予測される。"
株を安値で買う方法 ※有料コンテンツです
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar16744

これはゆり戻しとも言われ、多くの場合、時間をかけて行きつ戻りつする波のようでもあります。
このように、時間の経過から流行を予測する方法として、ドラッカーの『ある発明が定着するまでには30年かかる』ことや、現在の小学生に流行っているものから、彼らが購買力を持つようになる頃に受け入れられそうな価値を、コンテンツの哲学として取り入れることなどが、具体例とともに紹介されました。


高尚と低俗のはざまで

クリエイターとしての能力の高さや、コンテンツの深層にある哲学性は、流行したり、評価される絶対的なものではない。
先に挙げた、ヤンキーや右翼文化に代表されるように、哲学性のない低俗なコンテンツが広く受け入れられることは少なくありません。

ですが、ここで題材とするのは、二層のレイヤーを持った懐の深いコンテンツがどのような構造となっているかです。
その二層とは、表層の『単純明快な「おはなし」』深層の『深遠な哲学』であり、『ハックルベリー・フィンの冒険』において層をなしている要素は下記のようなものが挙げられました。

・ハックの聖性
・嘘の哲学性
・自己言及

それぞれについて詳しくお話しがありました。


終わりに
コンテンツメイキングにおいて、高尚か低俗かという問題は避けて通れないと考えていたので、今回の講義は非常に刺激的なものでした。

パチンコ屋でPOPデザイナーのアルバイトをしていたときに、上司から天才との評価をいただいて複雑な心境になったことを思い出しました。

次回(09/06)は、映画『パルプフィクション』を見てくるようにとのことでしたが、『ハックルベリー・フィンの冒険』についてのディスカッションなる可能性もあるそうです。



岩崎夏海クリエイター塾レポート・リンク集
http://blogger.naminoritaishi.com/p/huckleberry.html