2015年5月23日土曜日

残酷な競争社会を生き抜くには 第二期岩崎夏海クリエイター塾 第八回


皆さまこんにちは、波乗りたいし(@naminori_taishi)です。

2015年5月9日に渋谷で行われた、ハックル氏(@huckleberry2008)こと岩崎夏海氏(以下ハックル氏)の主催する「第二期岩崎夏海クリエイター塾」の第八回に参加したので、レポートをお届けします。

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ハックル氏が4月25日にニコニコ超会議に出席されることになったため、一回分先送りされ、都合一ヶ月ぶりとなった今回の授業では、「すべてのコンテンツには明確に優劣をつけることができる」という残酷な現実をつきつけられた。


本日のメニューはこちら!

  • 評価と価値の残酷な真実
  • 「あや」の中で醸成されるクリエイション
  • クリエイションで生きていくのに必要な「構え」
  • 残酷な競争社会を生き抜く



■評価と価値の残酷な真実


クリエイションに向かうとき、まず問題となるのはその方向性だろう。
・社会的な立ち位置に関係なく高みを目指す
・商業性と社会の中での役割を持つ
この配合でクリエイションの方向性と位置づけが変化する。

高尚、低俗、商業的、哲学的、などと作品を表わす言葉は無数にある。その様々な価値観の織りなすグラーデーションの中に位置づけられながら、凡百のコンテンツと一線を画すような、歴史に残る価値を持つかどうかは「賭け」に近いとハックル氏は言う。

作品にとって最も大きな摩擦係数を持つものは「時間」である。「時間」がコンテンツにとっての試金石となる。価値を持たないものはその存在感を減衰させ、逆に価値のあるものは磨かれて輝きを放ち続ける。
それに見合う強度を持ちうるかというのは、高いレベルの人間同士にしかわからない部分でもあるのだ。

"「音楽に勝ち負けはない」というのは、音楽を知らない素人の考え方で、それに習熟すればするほど、そこには厳密な「勝ち負け」が存在するということを知るのだ。この映画は、一流の音楽家しか知らないそのことを教えてくれているのである。"
週末に見たい映画#033「アマデウス」 (2,351字)
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar310446

時を越える価値を得たのは、モーツァルトであった。しかし、サリエリが宮廷楽長として評価され、高い社会的地位を確立していたこととは対照的に、モーツァルトが困窮のなかで35歳の生涯を終えたことを考えれば、価値と同時代の評価は必ずしも一致しないのだ。


■「あや」の中で醸成されるクリエイション


映画『アマデウス』では、サリエリに追い詰められていったからこそモーツァルトの芸術性が高められていったということが、裏テーマになっている。

"そのため、モーツァルトも引き裂かれの中に置かれることになる。人間的に困窮しつつ、さらなる素晴らしい音楽を作りあげていくのである。"
週末に見たい映画#033「アマデウス」 (2,351字)
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar310446

しかしながら、商業的な成功と価値のバランスはケース・バイ・ケースで、ドストエフスキーは「罪と罰」で商業的にも大成功しながら、歴史に残る価値を獲得した。
このような様態は、こと映画のようなアンコントローラブルな要素をもつコンテンツではさらに先鋭化する。

そのように、クリエイションは繊細なやりとりの「あや」の中で醸成されるのだ。クリエイターはクリエイションの繊細さを知り、それを扱うセンシティブさを持つ必要があるとハックル氏は説く。クリエイションに対する姿勢、構えそのものが作品に定着するのだと。
そして、それが面白さや価値を担保することにも繋がる。


■クリエイションで生きていくのに必要な「構え」


ハックル氏ご自身の例をみてみよう。
塾生とハックル氏は、岩崎夏海クリエイター塾に第一期と第二期に参加していれば、間もなく一年近くをともに過ごしていることになる。それでもなお仏頂面を貫いているハックル氏に対し、相好を崩されてもいいのではと、ある塾生の方が指摘されたそうなのだが、
「馴れ馴れしい態度には、なりようがない。」
とハックル氏はいう。

塾生と先生という関係だが、塾生はあくまで時間とお金を費やす顧客であり、塾生側がクリエイター塾への参加を辞するハードルは、どこまでも低いのだ。
そのような理由から、ハックル氏が授業に臨む際には、
「常に緊張している。」
という。この姿勢が、塾としてのクオリティを維持する。これがハックル氏のクリエイター塾に対する「構え」なのだ。

このような高潔さには畏敬の念すら抱くが、ハックル氏はこれは後天的に身につけることができるものであるとする。力を出すポイントを知ることが重要なのだ。

結果を出すプロになるために、最低限必要な5つのポイントがブロマガで紹介されている。


1.気を抜くポイントを知っている
2.貸し借りの感覚に長けている
3.「場所」から作る
4.本物のプロは弱点を克服する
5.本物のプロは意識が低い
本物のプロと生半可なプロの5つの違い(2,317字)
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar788022



■残酷な競争社会を生き抜く


クリエイターとは「生き方」に他ならない。これがハックル氏の掲げるクリエイター塾のあり方だ。
そして映画『アマデウス』はクリエイターの生き方をこれ以上なく描き出している。

[Q&A]クリエイターの生き方を描いた素晴らしい映画を教えてください(1,446字)
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar746985

クリエイターはクリエイションのもつ残酷さ、ひいては競争社会の残酷さを知り、その残酷さのなかで生き抜いていかなければならないのだ。
4月27日に発売されたハックル氏の新著『競争考』には、その生き方のエッセンスが余すことなく描き出されている。



この書籍は、ハックル氏が発行されているブロマガ(有料メルマガ)『ハックルベリーに会いに行く』で連載されていたシリーズで、岩崎夏海クリエイター塾に参加されている塾生の方がお勤めの出版社から上梓されていることもあり、僭越ながらレビューを書かせていただいた。
クリエイターならずとも、一読されることをお勧めしたい。

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最後までご覧くださいましてありがとうございます!


第一期岩崎夏海クリエイター塾レポート・リンク集
http://blogger.naminoritaishi.com/p/huckleberry.html


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