2014年10月18日土曜日

岩崎夏海クリエイター塾 第七回に参加してきました!


皆さまこんにちは、波乗りたいしです。

2014年10月4日に渋谷で行われた、ハックル氏こと岩崎夏海氏(以下ハックル氏)の主催する『岩崎夏海クリエイター塾』の第七回に参加したので、レポートをお届けしたいと思います。

前回(第六回)のブログをハックル氏がTwitter上で紹介してくださいました。
その中で、「知の向上」について語られております。








継続してハックル氏のコンテンツに触れていると、折にふれて「つながる」感じを得ることがあります。
同じ目的地でも道は複数あり、同じことを別の見方で見たり、同じことを言っているけど別の文脈で語られたりするので、いつも新たな学びがあるように感じます。

ハックル氏が塾やブロマガで伝えようとしていることは、そう簡単には身につかないでしょう。
しかし、だからこそやる価値があると思いますので、心して臨みたいと思います。


さて、今回の宿題は、「映画『ゴッドファーザー(1,2,3)』を見てくること」ということでした。
授業と授業の間は2週間ありますが、全編観ると9時間の超大作はかなりのボリューム。
小説版(上・下)も読みたかったのですが、結局上の後半、2部の始めまでしか読めませんでした。

週末に見たい映画#003「ゴッドファーザー」(2,222字) http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar25538

そして、授業はどうだったのかというと?



ツイート内容に訂正があります。
(訂正)
岩崎夏海クリエイターサロン

岩崎夏海エンタメサロン


衝撃のゴッドファーザーへの言及ゼロ。
ハックル氏のスタンドが「ザ・ワールド」であることが判明しました。

しかし、そんなことも忘れてしまうくらいの充実の授業内容。
そして今回のレポートをまとめていて、すごく感じたのは「シャーマン」としてのハックル氏の能力がとてつもないものであるというでした。

シャーマンとは古代から続く最も伝統ある職業の一つなのだけれど、その場の空気を読んで居合わせた人々に最も必要とされている言葉を述べるということを仕事としていた。
シャーマンとして生きる(2,832字) http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar15110


今回の文脈で言えば、ハックル氏がシャーマンたることというよりも、「クリエイターはシャーマンたるべし」というお話しでしたが、最近のブロマガニコ生で垣間見るハックル氏の「シャーマン力」がかなり大きくなってきているように感じていましたので、当ブログをご覧の皆さまにもその辺りを感じて欲しいと思い、ご紹介させていただきました。


それでは本日のメニューはこちら!

前半

  • 物語とはなにか
  • 名前を与える
  • センサーを磨く生き方
  • センサーを磨くと世の中が分かる

後半

  • 実践編



前半

岩崎夏海クリエイター塾・第二回の授業で、クリエイションとは「換骨奪胎」であるというお話しがあり、以来、物語(価値の定まったコンテンツ)の構造を紐解く作業を通して価値を知ったり、クリエイターとしてどう在るべきか(プレゼンテーション)などについて学んできました。

因みに、換骨奪胎の段階は下記の通り
1.良いものを見分ける
2.構造を見抜く
3.他のものに移し替える

これまでの授業では、1.良いものを見分ける、2.構造を見抜く、ということに重点を置いて行われてきましたが、今回は、3.他のものに移し替える、という段階に進み、どのようにしてアウトプットに繋げていくのかについて授業が展開されました。
岩崎夏海クリエイター塾、いよいよクリエイションの核心に踏み込みます。


物語とはなにか

そもそも物語とはなにか、物語はなぜ生まれ、社会の中でどのような役割を担ってきたのでしょうか?

それは「恐怖の緩和」

人々が感じる得体の知れないものに対する恐怖を、前述の「シャーマン」が御託宣としての「神話」をソリューションとして提供することで和らげてきたということが原型となっているそうです。

冒頭でもご紹介した「シャーマン」という存在については、過去のブロマガを閲覧することで多面的に捉えることができます。

藻岩高校の講演で思ったこと(2,539字) http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar346601

「物語」の起源と役割(1,927字) http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar581396


人間が生きる上で恐怖心のセンサーが強いことが、生存を勝ちとるために必要なものであり、恐怖心の強い者が生き残り、今日の人々にその遺伝子が受け継がれてきました。
しかし、恐怖に縛られてしまうことにより、生きづらくなったり、社会が不安定になってしまうといった弊害があり、恐怖心がコインの裏表のように二面性を持つものであるとハックル氏は説きます。

科学の発展した現代においても、未知への恐怖はなくなりませんが、人は物の道理がわかるとすっきりすることから、そのために物語は与えられ、社会が円滑に運ぶように機能するということでした。


名前を与える

続いてハックル氏から、事象に物語を付与する最もプリミティブな形式はどういうものか、という問いかけがありました。

それは「名前」

何か「もやもやした事象」があり、その正体がわからないことで不安を覚えるとき、名前が与えられることで、人々はえも言われぬ安心を得ることができるそうです。
草食系男子、ニート、オタクを例に挙げ、それぞれ、性欲がない若い男性、部屋に引きこもり学習も仕事もしない、自己の興味に埋没し他人に心を開かないという、周囲から見ると理解不能な人物が増えている不安を解消してきたと解説されました。


センサーを磨く生き方

しかしこのような人物像が、顕在化し名前が与えられる前に認識することは非常に難しいので、とにかく人をカテゴライズしてみるのも一つの方法であると言います。
類型化し、単純化し、まず「分かった気になる」。
それを検証するトライ&エラーの中で、ピンそばにピタッと寄せていくような精度を獲得することができると説きます。

そして、シャーマンたるためには、
人々が無意識に違和感を感じているが、まだ顕在化していない、もやもやしているゾーンに入っていくことが重要で、それには明鏡止水のごとく振る舞い、心の波立ちを分析し、世の中の危機を察知する必要があるとのことでした。

この在り方を学ぶには、隆慶一郎氏の「死ぬことと見つけたり」を読むことが最適であるとのことです。

続いては「定点観測」の重要性についてのお話しがありました。
これは過去のブロマガでも紹介されていました。

長い年月をかけ、ずっと同じ場所から観察し続けるのだ。動き回ってはならない。動いてしまっては、微細な変化には気づけない。亀のように一つところにじっと佇んで、粘り強く観察することでしか、不可逆的な変化には気づけないのだ。
[連載第2回]「もしドラ」はなぜ売れたのか?「時代の潮目を読む方法」(2,700字) http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar11702

こうした、「センサーを磨く」生活はクリエイターであるためには重要ですが、現代にあって抑制的な生き方をすることは非常に難しいため、プラスアルファの利点を目指すような設定をするといいとのことです。

ハックル氏ご本人の例でいうと、「センサーを磨く」生活のためのアドバイスとなるような本を上梓し、ミリオンセラーを目指す「裏ミリオンセラープロジェクト」があります。

裏ミリオンセラープロジェクト
【特別版】 「『部屋』についてハックルさんと考えた」岩崎夏海(作家)×光嶋裕介(建築家)×井之上達矢...
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar392044


もう少し身近な例としてダウンタウン・松本人志氏のボウズ頭を挙げ、これを氏なりのセンサーを高める生き方のひとつと分析し、そこから読みとった本質をコントに活かしている例が紹介されました。


センサーを磨くと世の中が分かる

前述のコントにしても、ハックル氏の分析力があってこそ本当の構造に気付けるのであって、ほとんどの人が無意識のうちに受け取っているにすぎません。

さらにハックル氏はシャーマンたるセンサーをもって、盲導犬事件における障害者特権への怨嗟、オニギリマネージャーへの批判やそれにまつわる炎上などの社会で起きている問題の真相に迫ります。

いずれも今までブロマガやニコ生などで一部が語られてきた内容ではありますが、この文脈で改めて語られてしまっては得心せざるを得ません。
これを台本無しでやってるのですから驚きます。
嘘だと思うかもしれませんが、後半までの休憩中に、ハックル氏の演壇に置いてあるメモが目に入ってしまった(決して意図的に覗いたわけではなく)のですが、そこには2、3語の殴り書きしかなく、しかもそのうちのひとつが「二十四の瞳」。
うん、全然関係ない(*´∇`*)
いやぁ、たまげました。


後半
実践編

前半では、シャーマンの社会における役割と、その在り方について学びました。
後半は、より実践的な内容になります。
「もやもやした事象」を顕在化し、社会に提示する役割においては、その困難さは下のような関係になっているそうです。

名前を与える>物語をつむぐ

名前を与えることは非常に難しく、物語をつむぐ方が少しやり易いということで、後半では受講生全員が「物語をつむぐ」ことに挑戦します。
物語は具体的にどのように作っていくのでしょうか。
授業は物語の「企画」を行なうような形で進みます。

過去のブロマガでは、「自信や自負というものをあまり持たないように心がけている」と前置きしながら、企画をすることについて「誰にも負けたくない」という思いを露わにする場面もあったハックル氏。
前半に引き続き、「クリエイター岩崎夏海」が獅子奮迅のごとく躍動します。

物語には必ず「型」があり、基本的な「型」は下のようになります。


  • 主人公がいる(名前がある)
  • 主人公に変化が訪れる
  • 主人公が選択を迫られる
  • 主人公が決断をくだす

この「型」に沿って7、8名の受講生が発表を行ない、それにハックル氏が助言を与える形で、それぞれのフェーズでどのように物語を組み立てるのかを学びます。


・主人公がいる(名前がある)

考え方:主人公はどんなキャラか

主人公を設定するにあたり、「名前に関する感度」という能力について説明がありました。
「名前に関する感度」とは、例えば松本人志氏が映画「ツインピークス」の出演者の名前を出して「『カイル・マクラクラン』てなんかいいよね」と言ったり、富野由悠季氏の「Gのレコンギスタ」が名前ありきで企画されたものであるようなことを指し、「名前に対する感度」が低いとクリエイターには向かないと説きます。

続いて、主人公の性質としては受動的であるほうがよく、能動的に何かを起こそうとすると、フラットではなくテーマになりづらいとのことでした。


・主人公に変化が訪れる
・主人公が選択を迫られる

考え方:どのような変化が起こるのか

鑑賞者の無意識に訴えるためには、現代性のある変化を与える必要があり、常識を疑うような問いかけをすることで深遠な哲学を物語に付与することができると、ハックルは言います。
講義の中でハックル氏から提示された考え方の一例を以下に記します。

弱者として扱われている対象が、実はすでに優遇されすぎているために無意識の反感を買っている。

社会の中で良くないと判断されているものの中にも、善いものとしての一面があったりする。

差別感情はどうあっても生まれてしまうものだが、差別心を持つことに対する罪悪感を持っているので、物語のなかで差別が繰り広げられていたり、その差別が原因で報いを受けたりするとこで、鑑賞者はカタルシスを得る。

本当は蔑みたい対象がいるけど、ほとんどの人は良心の咎から蔑むことができないので、登場人物に投影しその人物を蔑むようにするなど工夫する。


具体例として、小説「ドン・キホーテ」の一場面が紹介されました。
「ドン・キホーテ」は騎士道小説を読み過ぎて気狂いじみた中年男性が、遍歴の旅に出かける物語ですが、その道中、主人公が器量の悪い娼婦に求婚をします。
これを周囲の人が笑うというシーンがあるのですが、娼婦という存在自体をダメなものと指弾したり、娼婦を美化、聖化して捉えてしまう男性の滑稽さを主人公に仮託しているそうです。
さらに、「ドン・キホーテ」は差別感情をくすぐることこそが全てのギャグ、お笑いの源泉であることを教えてもくれているとのことでした。


・主人公が決断をくだす

考え方:どんな選択をするか

主人公がくだす決断は大きく分けて二つあり、「自分が死んで何かを守る」か「何かを捨てて自分が助かる」という生か死かのように極端なものを設定し、自分を犠牲にして信念を通すという選択が順当であるといいます。

なぜなら、人は生きていることに罪悪感を抱えながら生きているので、誰かが厄災の犠牲となることで「カタルシス」を感じてすっきりするからだそうです。

この「犠牲」と「カタルシス」の関係性については、ハックル氏ブロマガをご覧ください。

なぜ人々は御嶽山のできごとに大きな関心を寄せるのか?(2,090字) http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar635587



まとめ

顕在化していないけど人々がもやもやしている事象に対して物語や名前を与えて安心させるのがシャーマン(=クリエイター)の役割なんだ!

シャーマンとしての能力を磨くには抑制的な生活を送るのがいいけど、それだけだとキツいのでプラスアルファを目指すといいよ!

物語には型があって、それに沿って考えるといいよ!で、重要なテクニックが幾つかあって、それは常識を疑う問いかけから始まるよ!



終わりに

授業が終わってようやくゴッドファーザーのゴの字も出なかったことに気がつく充実の内容。
これもまさに「シャーマン」たるハックル氏が、受講生が必要としていることを読みとった賜物ではないでしょうか。
講義終了後は他の受講生の方と個人的懇親会を行ない、ハックル氏のハッスルぶりについて熱く語り合いました。

そんなシャーマン力みなぎるハックル氏が、来る11月8日(土)にエンタメサロンというイベントを行ないます。
ハックル氏という恐ろしいものの片鱗を味わってみてはいかがでしょうか!
岩崎夏海のエンタメサロン 2014年秋


次回は10月18日(土)
宿題は、下記の映画4本を見てくることです。
カッコーの巣の上で
ロッキー
真夜中のカーボーイ
スティング

それではみなさま、またあそぼーね!


岩崎夏海クリエイター塾レポート・リンク集
http://blogger.naminoritaishi.com/p/huckleberry.html

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