皆さまこんにちは、波乗りたいし(@naminori_taishi)です。
2015年6月13日に渋谷で行われた、ハックル氏(@huckleberry2008)こと岩崎夏海氏(以下ハックル氏)の主催する「第二期岩崎夏海クリエイター塾」の第十回に参加したので、レポートをお届けします。
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いま、あらゆるクリエイターが「作る」ことの難しさの前に立ちすくんでいる。
混沌とした時代の価値観のなかで、正解を探り合うような様子見的雰囲気が漂っている。
宿題となっていた映画『ウォーリアーズ』で描かれたものから、この停滞から抜け出すヒントを探っていこう。
本日のメニューはこちら
- 感覚的アプローチと思考的アプローチ
- 歴史を学ぶ
■感覚的アプローチと思考的アプローチ
映画『ウォーリアーズ』から感じるのは、「作ろうとする強固な意志」だとハックル氏は言う。多くの人は「作る」ことに対して乱暴になれない。
ほんの一部のシーンを除いてオールロケで撮影されたこの映画には、映像的な瑕疵が散見されるにも関わらず、歴史に残る価値が吹き付けられた。
時代的な幸運も遠因となってはいるが、ぎりぎりのところに踏み込んでいく覚悟がなければ、この作品が世に送りだされることはなかっただろう。
作品に対する情熱は、自分が辛いと思う状況に追い込んでいくことで高められるのだ。そしてその泥臭さや不完全さが胸を打つ。
同様な例として、幾つかのエピソードが紹介された。
・某騎手を感動させたAKBのスピーチ
・猟奇殺人被害者家族の心情
・某俳優の末期ガン発表記者会見
これらは、多くのコンテンツが子供だましに堕するなかにあって、過酷な状況下でまろび出る偶発的な美しさを持っているとハックル氏は言う。
さらに、漫画『ドラゴンボール』における、無自覚に生じた神話性が紹介された。
こちらはTwitterでも発言されている。
今朝のぼくのブロマガとあわせて読むと味わい深い。「ドラゴンボール」はちゃんと神話だったんですね。しかもおそらく作者はそのことに無自覚です。 / “我が子を道具としか思ってない、孫悟空と碇ゲンドウの共通点 - ビルケなう!” http://t.co/o7OZqmLmRD
— 岩崎夏海 (@huckleberry2008) 2015, 6月 8
ツイート中で紹介されているハックル氏のブロマガはこちら
教育考:その22「神話に見る父親の教育」(2,242字)
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar808602
これらのいわば自然発生した価値とは対比的に、宮崎駿氏は神話の価値を認めた上で、そこから抜け出そうとするようなコンテンツ制作を行なっている。
このことをハックル氏は日本の里山を例に挙げ、美しい自然が天然と人工のバランスから生まれることを鑑みれば、偶発性を持つ感覚的アプローチと思考的アプローチの両方が必要なのだと説明する。
コンテンツは感覚的アプローチ(情熱)で熱し、思考的アプローチで冷ます、いわば焼き入れのような工程を経ることで歴史に耐え得る強度を持つに至るのだ。
■歴史を学ぶ
価値観が定まらない時代にあって、クリエイターが学ぶべきは「歴史」だとハックル氏は説く。歴史を学ばずして時代の流れは読めない。時代の流れを読まずしてクリエイションは成り立たない。
"歴史というのは非常に重要なものであることが再認識できた。なぜ重要かというと、「時代の流れ」が分かるからである。"
なぜ歴史を学ぶ必要があるのか?(2,679字)
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar256188
ハックル氏は歴史を学ぶ重要性を、数々のブロマガやTwitter上でも言及し、ご自身も実践されている。
そして特に70年代後半に時代を読むヒントを見出そうとしている。
クリエイター塾でも、今回の『ウォーリアーズ』(1979年)、第八回・『家族ゲーム』(1983年)、第九回・『太陽を盗んだ男』(1979年)などを観てきた。
70年代は高度経済成長期とバブル経済の谷間で暗い時代だった。
その成れの果てに「金属バット殺人事件(1980年)」が起きる。にも関わらず、80年代の原宿文化、バブル経済に代表される享楽・狂騒の時代が幕をあけようとしている、夜明け前のような魅力が70年代後半にはあるとハックル氏は言う。
気分は暗い(鬱)のに、経済・社会には明るい(躁)兆しが見えているという状況は、まさに現在と重なるようにも思える。
クリエイターは過去の名作と現在に点を取り、未来のほうへその補助線を伸ばしていくのだ。
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第一期岩崎夏海クリエイター塾レポート・リンク集
http://blogger.naminoritaishi.com/p/huckleberry.html